売り手市場に起因する介護職の退職

超高齢化社会に突入し、ますます需要の高まりを見せる介護職。介護施設などといった事業所が街中に溢れ、どこの施設でも介護士が足りず常に求人を出しているような状況が続いている。このような売り手市場と呼ばれる状況においては、労働力を提供する側が就職先を有利に選ぶことが可能だ。介護職が仕事を探そうと思えば、いくつもの求人を容易に見つけることが出来るだろう。

豊富な求人の中から自分に見合ったものを選べることは、仕事のモチベーションにも繋がる。しかし、この売り手優位の就職市場の中で、自分で選りすぐった求人に応募したのにも関わらず、就職後数ヶ月で退職してしまう人が続出しているのだ。

介護職の転職率を高めているのは、売り手側の就職意識といえる。介護業界は常に求人で溢れているため、就職してダメなら違う事業所へ転職しようと安易に考えてしまう人間が思いのほか多い。本来、求人が多いのならそれらをしっかりと吟味しなければいけないが、給料や職場の場所、休日数など、うわべの情報だけを頼りに安易に就職先を決めてしまう。その結果、就職後に職場の環境や業務内容に馴染めないといった問題を招き、それを理由に早々に退職してしまう人が続出するのだ。

転職そのものは悪いことではないが、キャリアアップを狙うのなら職場を転々とするよりも、一つの事業所で経験を積んだ方が効率的なのは間違いない。もし、今まさに介護職の求人を選んでいる人がいるなら、条件面だけではなく、実際に事業所へ訪れて自分の肌で就職先の雰囲気を感じ取ってみることだ。そうすることで、就職後すぐに転職してしまう可能性を大幅に減らすことも可能である。